はじめに
皆さんはがんはどのように発見され、そして治療されていくかをご存じでしょうか?今回はがんが発見されるきっかけや、その後の検査・診断、治療に至るまでの過程について解説していきます。
がんが見つかるきっかけ
がんが見つかるきっかけは様々であり、がんの種類によってもきっかけとなる症状は異なります。発見されるきっかけとしては主に以下のようなものがあります。
- 腹痛や便秘といった症状が出現する
- 検診で発見される
- 他の病気で病院にかかっており、偶然発見される
消化器のがんは初期には症状が出ないことがほとんどのため症状が出てから見つかる場合は進行がんであることが多いです。 逆に検診で見つかるときには早期の発見も多く、胃がんや大腸がんであれば内視鏡的治療で済むこともあります。
☆検診を受けるときのポイント がんを気にして検診を受ける際には胃カメラ、大腸カメラ、超音波検査を受けるようにしましょう。一般的な検査は血液検査やレントゲンじゃないの?と思われるかもしれませんが、血液検査で貧血が出るほどのがんは進行してますし、レントゲンでは胃や腸の内部まではわかりません。CTであってもがんがある程度の大きさにならないと判明しないため、初期のがんを見つける能力は上の3つが優れています。
病院を受診しがんが診断されるまで
がんの確定
症状が出現したり、検診でがんが疑われる状況となると診断ができる病院を受診することになります。ここで実施されるのは血液検査、CT(造影が多い)、疑ったがんに応じた検査です。例えば胃がんを疑うなら胃カメラ、大腸がんなら大腸カメラ、肝臓がんならMRIといった具合です。胃カメラや大腸カメラは他院で実施されていても追加されることが多いです。これは実際にがんを確認し、生検を行うためです。
生検:胃や大腸でがんを疑ったときにその一部を摘まんで検査を実施し、がん細胞の有無を確認すること。大腸がんではがん本体からのみ摘まむが、胃がんのときは周りの正常な組織も摘まむことが多い。これは胃がんが胃の壁をつたって広がることが多いためである。肝臓がんは摘まむことの方がリスクが高いことが多く、基本的には生検は実施しない。
がんの存在範囲の確認
生検によってがんの診断が確定すると次にがんの存在範囲を確認していきます。治療をしていく上で最も重要なのが遠隔転移の有無です。胃がんや大腸がんでは肝臓や肺に転移が広がることが多く、広がる可能性のあるところを中心に確認していきます。またどのようながんであっても胃カメラ、大腸カメラは両方実施することが多いです。これは重複がんといって複数のがんが体に存在することもあるからです。
以上から行わることの多い検査は以下のようになります。
- 血液検査
- CT
- 胃カメラ
- 大腸カメラ
- MRI
- 超音波検査
- PET-CT
診断から治療へ
がんの診断が確定し、その広がりも確認できたところでいよいよ治療が開始となります。治療方法はがんの種類によって、そして広がり方によって詳細に分かれているためその患者さん個人の状態を確認して決めていくことになりますが、主な治療法は以下の通りです。
- 手術:切除可能と判断できれば実施する。転移があっても転移部分も切除可能なら適応となる。
- 化学療法:主に抗がん剤治療。最近はがんの種類よりもそのがんが持つ細胞に合わせた分子標的治療薬による治療が主流となってきている。
- 放射線治療:一部の消化器がんでは効果が認められており、骨転移などにも良い適応である。放射線は様々な種類があり、重粒子線治療などは実施できる病院が少ない。
これらの治療は一つだけを実施するのではなく、複数組み合わせて行うことが多い。膵臓がんでは化学療法後の手術が推奨されていますし、大腸がんでは手術後のがんの状態によっては化学療法を追加します。また当初は切除不能でも化学療法と放射線治療を実施したら切除できるようになったというパターンもあり、治療法は刻一刻と変化していきます。
おわりに
今回はがんの発見から診断、治療までの流れについて解説しました。がんによって症状も違い、治療法も違うためがんの種類に合わせて治療までの方針を確認していくことが重要です。
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