どうする?大腸癌 – 早期発見と対策のポイント【外科専門医が解説】

疾患解説

はじめに

大腸癌は日本でも年々増加傾向にありますが、早期発見と適切な治療により予後を改善することが可能です。この記事では、大腸癌の症状、検査、治療法、予防策について解説し、どのようにしてリスクを軽減できるかを考えます。

大腸癌とは?

大腸について

これから大腸癌について解説していきますが、そもそも大腸とはどのようなものでしょうか?大腸は体の右下から始まり、おなかの外側を回って肛門へとつながる長さ1.5~2mの臓器です。その走行は体の正面から見ると”?”マークのように見えます。大腸は結腸直腸の2つの部分からできています。

大腸について

  • 大腸癌は、大腸の内壁にできる悪性腫瘍のことで、結腸や直腸に発生します。     大腸癌の発生部位はS状結腸、直腸、上行結腸の順に多いです。
  • 年齢や生活習慣、家族歴がリスクファクターとなります。
  • 日本において大腸癌は男女における癌死亡第2位となっていて、世界的に見ても、日本では特に多い癌の一つです。

大腸癌の主な症状とリスク

大腸癌の症状

初期の大腸癌は自覚症状が少ないことが多いですが、進行すると以下のような症状が現れます

  • 血便
  • 腹痛
  • 便秘や下痢の繰り返し
  • 体重減少や貧血

リスク要因

大腸癌のリスクを高める要因には、以下のものがあります

  • 家族歴(遺伝)
  • 肉や加工食品を多く摂取する食生活
  • 喫煙、飲酒
  • 運動不足や肥満

大腸癌のステージ

どのような癌においてもその癌の進行度を表すステージがあり、このステージに合わせて治療を実施していきます。大腸癌のステージはStage0からStageⅣまであり、以下のように分類がされています。

”もっと知ってほしい大腸がんのこと”より引用

早期発見の重要性と検査方法

なぜ早期発見が重要なのか?

早期の段階で発見された大腸癌は、治療によって完全に治癒する可能性が高くなります。進行した大腸癌に比べ、治療の負担も少なく、予後も良好です。

検査方法

大腸癌を早期に発見するための代表的な検査には以下があります

  • 便潜血検査: 比較的簡単で一般的に行われるスクリーニング検査
  • 大腸内視鏡検査: 大腸内の詳細な観察が可能で、ポリープなどの前癌病変も発見できる
  • CTコロノグラフィー: 画像診断を利用した非侵襲的な検査方法

大腸癌の治療法

  • 内視鏡治療 早期の大腸癌であれば大腸カメラで切除できることがあります。切除した結果によっては追加で手術治療が必要になることがあります。
  • 外科治療  主にStageⅠ~Ⅲの大腸癌で実施します。従来は開腹による手術でしたが、最近では腹腔鏡手術からロボット手術が主になっています。StageⅣ大腸癌であっても肝転移などは手術による切除を検討することがあります。
  • 抗がん剤治療  StageⅣ大腸癌や、外科治療後の再発癌に対して実施することが多いです。StageⅡの一部の癌やStageⅢの癌に対しては手術後の追加治療としても実施します。最近では癌の遺伝子に合わせて抗がん剤を選択することが主流になってきています。

大腸癌予防のためのライフスタイル

  • 食生活の改善 野菜や果物、食物繊維を多く含む食事が大腸癌の予防に効果的です。肉類や加工食品の過剰摂取は避けましょう。
  • 定期的な運動 運動不足は大腸癌のリスク要因の一つです。日常的に体を動かす習慣を身につけましょう。
  • 禁煙・節酒 喫煙や大量の飲酒は、大腸癌をはじめ多くの癌のリスクを高めるため、これらの習慣を見直すことが重要です。

まとめ

大腸癌は早期に発見することで、治療の成功率が高くなります。定期的な検査を受け、生活習慣の改善を心がけることで、大腸癌のリスクを大きく減らすことが可能です。自分や家族の健康を守るために、今日からできることを始めましょう。

さらに詳しいことはこちらを参照してください。 JSCCR | 大腸癌研究会

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