はじめに
日本では癌(がん)は依然として主要な死因の一つです。厚生労働省や国立がん研究センターの統計によると、毎年新たに多くの人が癌と診断されています。本記事では、最新の癌統計を基に、どの種類の癌が多いのか、その要因、予防法について詳しく解説します。
日本における癌の現状
1. 日本人の癌罹患率と死亡率
2020年のデータによると、日本で年間に約100万人が新たに癌と診断されています。特に男性では前立腺癌、大腸癌、肺癌が多く、女性では乳癌、大腸癌、肺癌の順に多いです。日本においては75歳以上から急激に癌患者が増加し、癌罹患数の50%を占めます。ただし女性では40歳から癌が徐々に増えていきます。これは乳癌や子宮頸癌など女性特有の癌が影響していると考えられます。
また、癌による死亡者数は2022年に約38.6万人に上り、これは日本の全死亡者数の約25%を占めます。肺癌が男女合計での死亡数で最も多く、次いで大腸癌、胃癌が続きます。
2. 癌の罹患率が増加する要因
癌の発生には、遺伝的要因と環境的要因が影響しますが、環境要因が9割ともいわれています。近年、特に以下の要因が日本での癌罹患率を上昇させているとされています。
- 喫煙:喫煙は様々な癌のリスクとなることが知られています。有名な肺癌や食道癌、頭頚部癌に限らず、胃癌、大腸癌、肝癌、子宮頸癌、膀胱癌などでもリスクとなります。
- 飲酒:飲酒は一部の循環器疾患などでは少量で死亡リスクが下がるとされていましたが、癌の場合は飲めば飲むだけリスクが上がるとされています。特に食道癌、大腸癌、肝癌ではリスクになることが確実と言われています。
- 感染症:癌の原因となる有名な感染症がいくつかあります。肝癌の原因となるB型肝炎・C型肝炎をはじめ、胃癌の原因になるヘリコバクターピロリ感染、子宮頸癌の原因となるヒトパピローマウイルスなどがあります。
主要な癌の種類とその特徴
1. 肺癌
肺癌は死亡数が最も多い癌であり、喫煙が最大のリスク要因とされています。近年は、受動喫煙や大気汚染もリスクとして注目されています。肺癌には非小細胞肺癌と小細胞肺癌という大きな分類があり、どちらであるかによって治療方針も変わってくる疾患です。
2. 大腸癌
食生活の欧米化が進み、肉の摂取が増えたことで大腸癌の罹患率が増加しています。大腸癌の原因にはリンチ症候群や家族性大腸腺腫症など遺伝性の疾患もあり、癌患者本人だけでなく家族にもリスクが及ぶときがあります。
3. 胃癌
全体の死亡数の第3位につける胃癌ですが、その罹患数・死亡数共に減少傾向にあります。理由は最大のリスクであったヘリコバクターピロリ感染が減っていることです。ヘリコバクターピロリ感染については実はすぐ治療できる?ピロリ菌と除菌療法【外科専門医が解説】 | 外科医として歩む (walking-surgeon.com)で解説していますので参考にしてください。
癌の予防法
癌を予防するためには、健康的な生活習慣を維持することが重要です。以下のような予防法が効果的とされています。
- 禁煙:喫煙は多くの種類の癌リスクを高めるため、禁煙が最も効果的な予防策です。
- バランスの取れた食事:野菜や果物を豊富に摂り、加工食品や高脂肪の食事を避けることが推奨されます。
- 適度な運動:週に150分以上の中強度の運動が癌リスクを低減させます。
- 定期的な検診:早期発見が鍵です。特に乳癌や大腸癌は定期検診で早期に発見できるため、定期的な検査を受けましょう。
まとめ
「日本の癌の現状」は非常に深刻であり、特に高齢化や生活習慣の変化が大きく影響しています。しかし、正しい知識と予防策を実践することで、癌リスクを減らすことができます。今後も定期的な検診や健康的な生活習慣を心がけ、癌に対する意識を高めることが重要です。
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