はじめに
「右腹部に突然の痛みを感じた」「脂っこい食事をするとお腹が痛くなる」そんな経験はありませんか? もしかすると、それは胆石症の兆候かもしれません。胆石症は、胆のうに石ができてしまう病気です。この記事では、胆石症の原因と、食べ過ぎや食生活がどのように関係しているのかを詳しく解説していきます。
胆石症とは?
胆石症とは、胆のうや胆管に胆石ができる疾患です。胆のうは、肝臓で作られた消化液である胆汁を一時的に蓄える役割を果たしています。胆汁は脂肪の消化を助けますが、時にその成分が固まって「胆石」となり、胆石症を引き起こします。胆石症は結石のできた場所によって胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石に分かれますが、今回は全体の70-80%と最も多い胆嚢結石について解説します。
胆石症と食べ過ぎの関係
1. 食べ過ぎは胆石の原因になるのか?
胆石の形成には様々な要因が関わりますが、その一つに食べ過ぎや不健康な食生活が挙げられます。特に、次のような食事は胆石症のリスクを高めると言われています。
- 高コレステロール食品(バター、脂肪分の多い肉類、揚げ物など)
- 過度の糖分摂取(菓子類、甘い飲み物)
- 繊維質の少ない食事(精製された炭水化物、白米やパン)
これらの食品は、胆汁中のコレステロール濃度を上昇させ、胆石ができやすい環境を作ります。また、食べ過ぎると胃腸に負担がかかり、消化がうまくいかなくなることもあります。
2. 胆石症は肥満と関連が深い
食べ過ぎにより体重が増加すると、肥満も胆石症の大きなリスク要因となります。肥満の人は、肝臓でのコレステロール生成が増加し、胆汁にコレステロールが過剰に分泌され、胆石が形成されやすくなります。
胆石症になりやすい人の特徴
胆石症になりやすい人の特徴として以下の5つが挙げられています。
- 40歳代
- 女性
- 肥満
- 白人
- 多産・経産
妊娠や肥満などでは胆のうの収縮する力が落ちると言われており、その結果このような方が高リスクになっていると考えられます。
胆石症の主な症状
胆石症の症状はさまざまですが、以下が代表的です。
- 右上腹部の痛み(特に食後数時間後に発生)
- 吐き気・嘔吐
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 発熱
痛みは「胆石疝痛」と呼ばれ、特に脂っこい食事の後に悪化することがあります。医師国家試験では”中華料理を食べた後の腹痛は胆石症”と言われるくらいよくある症状です。また黄疸が出ている際には緊急での処置が必要な可能性が考えられます。症状がある場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。
胆石の種類
1. コレステロール胆石
胆石の多くは、胆汁中のコレステロールが固まって形成されるコレステロール胆石です。これは、食事におけるコレステロールや脂肪分の影響が強く関わっています。最近では細菌感染や、遺伝的背景が関わっているのではないかともいわれています。
2. 色素胆石
色素結石はさらにビリルビンカルシウム結石と黒色石に分類されます。どちらも赤血球が壊れることで生じるビリルビンが主成分です。ビリルビンカルシウム結石は細菌感染が石のできる原因と考えられています。一方黒色石は溶血性貧血、肝硬変、心臓弁膜症手術後などと関連があるとされています。
胆石症の治療法
胆嚢結石の治療法には大きく分けて非手術療法と、手術療法があります。
非手術療法
- 胆石溶解療法 ウルソデオキシコール酸を内服することで胆石を溶かす治療法です。15mm未満の結石で半年間飲み続けて3割程度の人に効果がみられる程度のため決して治療率の高い治療法ではありませんが、副作用が少ないことが利点です。
- 体外衝撃波結石破砕療法 コレステロール結石に有効な治療法ですが、10年の間に半数の患者に再び結石ができるとされています。
手術治療
現在日本では胆石症の治療として手術が最も多く行われています。胆石症に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準術式とされており、手術件数は年々増加傾向にあります。手術を受けることの最大のメリットは胆嚢結石が再発しなくなることです。一方で手術は全身麻酔で実施するため全身状態が麻酔に耐えられることが条件となります。
胆石症を予防するには?食生活と生活習慣の改善
胆石症を予防するためには、食生活の見直しと生活習慣の改善が重要です。
1. バランスの取れた食事
胆石を防ぐためには、次のような食事を心がけましょう。
- 繊維質を豊富に含む食品(野菜、果物、全粒穀物)
- 適度な良質な脂肪(オリーブオイル、ナッツ、魚などの不飽和脂肪酸)
- 高コレステロール食品の制限
特に脂肪の摂りすぎは、胆汁の生成を増やし、胆石のリスクを高めます。適度な量を心がけることが大切です。
2. 規則正しい食事
過食や間食を避け、1日3回のバランスの良い食事を摂ることが、胆石症の予防につながります。断食や極端なダイエットも胆石のリスクを高めるので、注意が必要です。
3. 適度な運動
肥満は胆石の大きなリスク要因です。適度な運動を取り入れ、健康的な体重を維持することで、胆石の予防効果が期待できます。
まとめ
胆石症は食べ過ぎや不健康な食生活が原因の一つとなる病気です。特に高脂肪・高コレステロールな食事はリスクを高めるため、バランスの良い食事と適度な運動が重要です。もし右上腹部の痛みや不快感を感じた場合は、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
胆石症を防ぐために、日常の食事と生活習慣を見直し、健康な体作りを心がけましょう!
さらに詳しい情報についてはこちらを参照してくださいhttps://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=13
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