はじめに
最近資産形成の方法として新NISAなどをきっかけにした株や投資信託が広がっていますが、不動産投資もまだまだ人気です。しかし不動産投資は正しく理解していないと失敗するリスクが高いものです。特に医師の場合は、高収入であるがゆえに不動産投資のターゲットになりやすいです。本記事では、医師が狙われる理由やお金を搾取される仕組みを紹介します。
医師が狙われる理由
1. 高収入で社会的信用がある
不動産投資は自身で物件を購入し、これを貸し出すことで収入を得る仕組みとなっています。そのためそもそも物件を購入する財力がないと始めることができません。それだけのお金がない場合は融資を受けて物件を購入する手段もありますが、融資を受けるときには受ける人の社会的信用度によって借りられる金額も変わってきます。この2点から考えると医師は高収入で、社会的信用も高いので融資額が大きくなりやすいという特徴があります。
2. 忙しくて投資の勉強をする時間がない
医師の仕事は多忙で、投資についてじっくり勉強する時間が取れないことが多いです。そのため、自分で判断することができず、業者の言うとおりに投資してしまう可能性があります。
不動産投資で搾取される仕組みとは
医師、特に初期研修医の時にこんな電話を受けたことはないでしょうか
「マンションを持っていると節税になって、税金対策になります。他の先生方も皆さんやってらっしゃいますよ」
確かに不動産投資は日本においてかなり強力な節税の手段ではあります。しかし業者から言われて始めるような節税では絶対に失敗します。なぜならその仕組みでは業者が最大限儲かるようになっているからです。その方法を次に紹介していきます。
1. 相場よりも高額な物件を売りつける
そもそも不動産の価格はどうやって決まっているかご存じですか?もちろん不動産の立地や築年数、建築構造などにも左右されますが、実際には売主が勝手に決めた価格となっています。
そのためマンションやアパートを市場価格よりも高く販売し、高額なローンを組ませてくることが考えられます。結果的に売却しようとしても思うような価格では売却できず大きな損失が出ることがあります。
2. サブリース契約によるリスク
賃貸の管理形態の一つに”サブリース契約”というものがあります。管理会社がマンションの本来の賃料の8割程度で借り上げ、入居者を募る方法です。「家賃保証」と称されることが多いものです。そもそも賃料の2割が管理会社の利益になる契約であり、家賃保証とはいうものの2年毎に賃料の改定が行われる契約内容になっていることが多いです。つまり2年を経過すると賃料の7割、6割の収入にしかならない可能性があります。さらにこの契約はオーナー側から解除できない場合がほとんどのため、契約内容によってはかなりの損失を被る可能性があります。
結論としてサブリース契約はお勧めできません
3. 節税を強調した勧誘
不動産投資でなぜ、節税になるのか。それは不動産投資によって購入した建物は”減価償却”を行うことができるからです。減価償却は使用していくと価値が減っていくもの(この場合はマンションの建物のこと、土地は使用しても価値が落ちないので減価償却できません)に対して実施できるものであり、購入した費用を経費として計上する方法です。これを利用すると確定申告時の課税対象額を減らすことができるため節税になる仕組みです。
例えば年収1300万の人の課税対象額は社会保険料など諸々を除くとおよそ900万程度になります。ここに減価償却が100万発生すると、課税対象額は800万となります。これだとおよそ20万程度所得税が変わってきます。
これが節税だと言ってくるわけです。
しかしこのようなうたい文句で契約をしてみると、実際には家賃収入がローンの返済額に届いておらず、毎月ローンの返済に追われるような契約をさせられるパターンなどもあります。
4. 偽の投資案件を紹介する詐欺
投資話を持ちかけ、実際には存在しない物件や架空の不動産ファンドに投資させる詐欺もあります。この時には「楽に稼げる」とか「1年で資産が倍になる」と言った勧誘をされることも少なくありません。特に、紹介者が知人や医療関係者の場合でも、十分な注意が必要です。
不動産投資詐欺を防ぐための対策
1. 物件価格と市場価値を調べる
不動産の相場を事前に調査し、提示された価格が適正かどうかを確認しましょう。不動産鑑定士や信頼できる専門家に相談するのも有効です。また不動産価格は売主が勝手に決めているため、価格交渉をすることが可能なことも覚えておきましょう。
2. 契約内容を細かくチェックする
不動産を購入する際にオーナーチェンジと言って住人がいるままで売買をすることがあります。購入直後から収入が入ってくることが魅力ですが、すでにサブリース契約などがなされていることもあるため、契約条件を必ず確認し、将来的なリスクがないか専門家に相談することをおすすめします。
3. 信頼できる業者を選ぶ
不動産投資に成功している人が口を揃えていうのが、”良い担当者に巡り合えたからよかった”ということです。大手の不動産会社だから安心ということはなく、それ以上に親身に、利益ばかりを追求しない担当者に巡り合うことが重要です。
4. 投資の目的を明確にする
お金のことだけで不動産投資をすることはお勧めできません。自分がちゃんと経営に関わる気持ちを持って始めないと成功しないのが不動産投資です。
まとめ
医師は高収入ゆえに不動産投資の勧誘を受ける機会が多く、詐欺のターゲットになりやすい職業です。不動産投資自体は資産形成の手段として有効ですが、リスクや詐欺の手口を理解し、慎重に行動することが重要です。
詐欺にあわないためには、市場調査・契約確認・信頼できる業者選び・専門家の活用が欠かせません。不動産投資を成功させるためにも、しっかりと知識を身につけ、安全な投資を心がけましょう。
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